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需要と供給が一致した


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嫁(高3)「誰でもいいから、部活に入って……」
俺(高2)「何処でもいいから、部活入らないとなー」
嫁・俺「え?」
需要と供給が一致したというか、
元野球部(廃部)の俺が、実質嫁しかいない手芸部(廃部寸前)に入部
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とりあえず、記憶を頼りに順番に書いていくけど、誤字とかおかしなところあったらスマンね。
うちの高校は、余程の事情でもない限りは三年間部活に入らないといけなくて、
野球少年だった俺は野球部で真面目に練習していたが、
高一の終わりに、一部の二・三年の不祥事が芋蔓的に発覚して、次年度から廃部が決定した。
残りの部員が粘れば、活動停止くらいで済んだかもしれんけど、周囲の目も合って、
皆に習って俺もさっさと退部した。
野球自体は、地元の軟式チームに混ぜて貰うことで緩く続けるようにしたが、
前述のとおり、何らかの部に入りなおす必要があった。
とはいえ、一年生に混じって他の部に入るのは結構しんどいのと、
元野球部というレッテルがあるのでどうしようかなーと思うまま、4月も終わりに近づいていた。
(4月までに入らないと、罰の奉仕活動的なヤツが待ってた)
そんなことを悩みながら廊下を曲がったら、三年生女子(制服で分かる)の先輩が
チラシを差し出してきた。
ティッシュ配りみたいな感覚で咄嗟にとってしまったら、手作り感全開な部活勧誘のチラシで、
部活名は手芸部。
当時の俺は、身長180センチ超えで筋肉質、坊主だった髪が伸び始めたのと
生来の目つきの悪さで、体育会系崩れのヤンキーに思われてもおかしくない外見だった。
身長150センチ台で、背中まで伸びた黒髪で、本当に「女の子」って感じな
その先輩が求めている人材な訳がない。
想定外の相手に渡して三年生は驚いていたようだけど、その後たどたどしくも勧誘してきて
俺がもっと驚いた。
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俺「えっ、本気すか? もしかして人数やばいとか?」
先「同学年も後輩もいないまま、先輩がみんな卒業しちゃって……
 一人でも入れば、廃部だけは防げるらしいんですけど。
 でも、二年生(制服で判別)だから、他の部に入ってましたよね。ごめんなさい」
俺「いえ、訳あって無所属でして、一応入れはしますけど……手芸、ですか」
俺が、『自分のキャラとの不整合』で悩んでいたのを、先輩は『手芸経験のなさ』で悩んでいると
勘違いしたのか、先輩は、「大丈夫です。私も初心者でした」とか「自分がいちから教えます!」と
頑張って説得してきた。
自分よりも小柄な女の子の謎の勢いに押された俺は、そのまま文化部の部室棟へ
連れて行かれた。
つっかえながらも頑張って説明したり、作品を見せる先輩を見てたらなんだか楽しくなり、
週に二日ほど野球チームの練習があるので、残り三日は部活に顔を出すという条件で、
その日のうちに入部を約束した。
そんな訳で、先輩と俺の二人体制での新体制手芸部が始まったわけだが、
もともと、工作として見れば造形は好きで、凝り性だったので意外と俺も楽しくやってた。
女の子と放課後遅くまで作業して、途中まで一緒に帰ったり、休みの日に材料の調達に
二人で出かけるという昨年までの、マネージャー含めて男が100パーセントだった環境からは
ありえない状況だった。
部長である先輩は、「お姉さん」とか「先輩」というポジションで頑張ろうとしてたけど、
お姉さんぶってる空回りが見てて楽しかった。
文化祭では、二人で半年の間に作った作品を展示したりして、それなりに客も来たし、
クラスの劇では俺の裁縫スキルが判明してやたら凝った衣装作ったりと楽しい日々だった。
他の部の三年生が引退するような季節になってからも、先輩は予備校とかに行かない日は
部室で俺と二人でいてくれた。
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そして、先輩が卒業した。
俺は、部室で泣いてる先輩に後輩として送り出す言葉とお礼は言えても、
男として告白はできなかった。
とっくに先輩のことは好きになってたけど、少しだけ負い目というかコンプレックスもあった。
手芸部を潰さないように頑張っていた先輩に対して、
最後まで頑張らずに野球部を早々にやめた自分はなんだったのか。
あの時、周囲の目なんか気にせずに、なんで他の部員に声をかけて、
野球部を最後まで守ろうとしなかったのか、と。
三年生になって、俺は部室に一人になった。
去年の先輩に少しでも追いつきたくて、俺は全力を出した。
新入生に対するセレモニーでは、手芸部の紹介なのにデカい図体した男の俺が作品を展示して、
笑いの声もあがったが、逆に「こんな男でも作れる」という掴みのおかげか、
新入生の女子が数名入ってくれた。自分が一年前に教わったことを一つ一つ教えていった。
文化祭の準備では、去年より派手な作品や、演劇部からの依頼で他の部員と衣装製作したりした。
俺は先輩に、文化祭に来て欲しいとメールを出した。
メールで近況報告はしていたけど、実際に会えたのは卒業以来で、
先輩は少しだけ大人っぽくなってたけど、俺が部を存続させていたことを本当に喜んでくれた
文化祭も終わり、二人のときに「頑張ったね」と言われて、ようやく、俺の中のモヤモヤがなくなって、
今度は素直に好きだと言えた。
先輩は驚いてたけど、「なぜ今のタイミングで?」って感じで、すぐにOKくれた。
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