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翠星石 「金色の窓ですよ」


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1:
ローゼンの世界 深夜
翠星石は今日もあんまり眠れませんでした
翠星石 「ああう… あんまり眠くないですう…
 しんくぅ…」
真紅 「なあに… まだ夜中なのだわ…」
翠星石 「本読んでえ しんくぅ」
真紅 「ええ… 折角眠るところだったのに…
 はあ 仕方ないのだわ…」ごそ
真紅は積んである本の中から
一冊を取って開きました
翠星石 「何が出るかなっ ですぅ!」わくわく
真紅 「ええっと… こほん…なのだわ
 これはビアールという人が書いた童話なのだけれど…」
4:
***金色の窓***
蒼星石の家は農家でした
あまり裕福ではなかったので
蒼星石は毎日お父さんのお手伝いをしていました
農家は日曜日でも休めないですから、
毎日夕方に少しだけ時間を貰って、
好きな事をして遊んでいました
蒼星石 「今日は丘の上に行ってみようかな…」
5:
遠くの山はオレンジ色に染まり、
影になった丘がずっと続いていました
するといくつもの丘を越えたずっと向こうに
キラキラと金色に輝いている窓がついた家が見えました
蒼星石 「あの金色の窓は何なのだろうか?」
その窓は夕焼けの空の中に
まるで宝石を散りばめて作ったように
美しく輝いていました
8:
蒼星石 「きっとあれはお城か何かなのかもしれないな
 どんな人が住んでいるんだろう
 何処かの王様だろうか それともお姫さま
 そうだ きっと綺麗な服を着た
 素敵なお姫さまだろうな…」
9:
10:
どんだけリアルな想像してんだよwwww
11:
その次の日も また次の日も
夕方になると丘に登って金色の窓を眺めました
蒼星石 「きっとこんなふうなかわいいお姫様だろうな…」
いつしか蒼星石はあの窓のあるお城へ行ってみたいと
思うようになりました…
14:
ある日の事 お父さんは朝ごはんの時に言いました
結菱かずは 「ちょうど畑仕事の区切りがついた…
  今日は一日、おまえの好きな事をして遊んで来るといい…」
蒼星石 「ほんと、何をしてもいいの…?」
かずは 「いいとも だがこの一日は神様が下さった、ありがたい一日だ
 何か良いことをして過ごしなさい…」
15:
蒼星石 「よし 今日こそあのお城へ行ってやろう」
蒼星石はパンを貰って、家を出ました
空は晴れ渡って、どこまでも澄みきった秋の終わりの空気が広がっていました
低い丘を二つ越えるともうお昼でした
蒼星石 「ここらへんでお弁当でも食べよう
 お姫様は今頃どんなお昼ごはんをたべているのだろう」
16:
17:
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そして、とうとう目指すお城の立っている丘の麓までたどりつきました
蒼星石 「あれっ」
蒼星石はびっくりして立ちすくみました
こうして良く見ると、それはお城でも何でもなく
ただのお百姓さんの家でした
蒼星石 「変だなあ でも確かにこの家に違いない…」
20:
蒼星石は丘を駆け登り、家の前に着きました
蒼星石の家と同じように、貧しそうな古ぼけた家に過ぎなかったのでした
窓にはただのガラスがはまっているだけで
金などはどこにも施されていません
蒼星石 「あのキラキラと輝いていた、金色の光は
 いったいなんだったのだろう…」しょぼん…
蒼星石は内心がっかりして
少し悲しくなりました
21:
そのときでした どこかから声がしました
翠星石 「だ… だれ…?」
家の戸が半分開いて、中からかわいらしい女の子が
すこしこわがっている様な顔をして覗いていました
22:
24:
蒼星石 「僕は蒼星石 君はこの家に住んでいるのかい」
翠星石 「そ そうですぅ…」
女の子は外へ出てきました
粗末な服を着ていましたが、緑と赤の色違いの瞳と長いまつ毛の、
それはそれはかわいらしい女の子でした
25:
26:
蒼星石はさっそく金色の窓の事をきいてみました
蒼星石 「僕はきっとお城に違いないと思ったんだ
 確かめようと思って、朝からここまで歩いて来たんだよ」
すると女の子が言いました
翠星石 「え…? 金色のまど…?
  それって翠星石も毎日見てるですよ
  ほら あれですぅ…」
蒼星石 「えっ どこに…」
翠星石 「こっちですぅ!」
女の子は蒼星石の手をとって小高い丘の上につれてきました
いくつもの丘を越えたその向こうに、キラキラと金色に輝く窓が見えたのでした
27:
蒼星石はびっくりしました
蒼星石 「あれは… 僕の家だ…」
しずんでゆく夕日を浴びて、古い貧しい蒼星石の家は
まるでお城のように、美しく輝いていたのでした
29:
蒼星石は、ポケットにもう何年も大切に持っている、
宝物の小さな石を女の子にあげました
翠星石 「うわあ… ふしぎですぅ…
 しましまもようですぅ」
31:
女の子は走って家の中に入ると
大きなりんごを一つ持ってきて蒼星石にくれました
翠星石 「その… おかえしですう!」
32:
34:
***
真紅 「…そうして二人は友達になりました
 これでお終いなのだわ どうだった…? 翠星石…」
翠星石 「むむ… 蒼星石ぃ…」むぐむぐ
真紅 「あら… もう眠っていたのだわ
 おやすみなさい 翠星石 おしまいだわ」
おわり
36:
37:
3

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